KENTA
「やっぱこれしかねーな」って気付かされたのが海外かな。
OWL TATTOO
海外のアーティストや著名人の影響により、今や日本の若い世代にも浸透しているTattooカルチャー。今でこそいたる所で多く見受けられる時代となったが、ほんの数年前まではそうではなかった。そんな中、10代半ばでその魅力に取りつかれ約15年近く彫師として活躍している人物がいる。OWL TATTOOのKENTA氏だ。アパレルブランド「HIGH GRAND MASTER」の立上げや、New york / Los angeles / AustraliaでのTattoo work、HIP-HOP、ストリート、仲間、家族、その他様々な経験が産み出す彼のTattoo
workに魅了される人は少なくない。他には真似の出来ない生き方を選ぶKENTA氏が今、想うこと。
Q:自己紹介をお願いします
A:えー、、、KENTAです。彫師、Tattoo artistです。
OWL TATTOOというスタジオをやっています。
Q:なぜ彫師になりたかったのか?
A:そーやねぇ、、、小学校の頃からとにかく絵が好きやったんよ。工作とか何かを作ったりすることとかね。
高校も美術の特待生として進学させてもらったんやけど、、、その入った高校がさ、、、
「あれ?」みたいな。「何か違うぞ」みたいな違和感(笑)
絵の勉強できると思って入ったら、全然俺がやりたい絵ではなくて。
そしたらある日、2つ上の先輩がtattooを入れてきとって、それ見た瞬間にビビーってきて。
将来というかこの先のビジョンが全部見えたんよね。
なんかTattooってさ、人の身体に一生残る物を彫るわけやん?しかも彫られた人って絶対俺のこと忘れんやろ。
しかもその人が生きてる間は、俺が彫った絵がずっとこの世に残るやん?凄くね?
絶対コレやん!って思ってしまって。それが16歳の時やったかな。
それで俺も我慢できんで、Tattoo彫ったんよね。卒業するまで隠しとこうって決めて。
でも3年なってちょっとして学校にバレてさ、退学なりかけ。
学校としては「Tattoo消すか、学校辞めるか」どっちか選べ、と。でも特待でいかせてもらっとーし、退学なるわけにはいかんし、親も消せって言うしさ。
仕方なく消してしまったね。家に警察とかも来たよ。「誰に彫ってもらったんか?」って。修学旅行で行ったハワイでとか言ってごまかしたけどね。
当時はTattooというか刺青とかに今より抵抗ある時代やったけんね。
で、それが時期的に卒業後の進路を考えないかん時やったっちゃけど、先生にはっきり言ったと。
「卒業したらアメリカとか行ってTattoo artistなりたいと思ってました」ってね。
そしたら「バカか、お前は。この期に及んで」って(笑)
そういうのが彫師になりたいって思ったきっかけで、実際に彫師になる24歳までずーっと思い続けよったね。
Q:彫師になるまでの経緯は?
A:1つ言える事は、彫師になる前にHIP-HOPと出会ったってことがデカいと思うね。きっかけはアメ車。
当時はHIP-HOP超全盛期で、俺が18の時に2Pacが死んだんよね。
地元が長崎の諫早なんやけど、1週間くらい遊び行こうと思って福岡出てきたのが19の時。
気づいたら20年福岡おるっちゃけどさ(笑)。
最初は高校の友達とかもおったけど、1カ月くらいしたら誰もおらんくなって俺一人になってさ。
日雇いの仕事とかはしよったけど、当時は超貧乏しとったよ。友達もおらんかったし、ばり喰らったね。(笑)
それから結構色々やったね。職種で言ったら20種類以上やっとーかもしれん。
その時期は絵とかは全然描いてなかったね。
Q:自分のスタイルについて
A:オールドスクール、ニュースクール、和彫、とか色んなスタイルがあると思うっちゃけど、全部好きやね。
頼まれたら何でも描くし、けどカラーはあんまりやらんかな。ブラック&グレーの、色を入れないのが好きやね。
色が入ると派手というか何というか。それがダメってわけじゃないんやけどね。
例えば、薔薇のTattooを入れるとしたら、赤をいれたら赤の薔薇でしかなくなるやん?
でも色を入れなければ、想像させる事ができるやん?「色は勝手に想像して下さい」みたいな。
Q:Tattooの価格について
A:そうね~、、、Tattooって一生物やからさ、例えば1万円の価値にしたいのか10万円の価値にしたいかってのは、ぶっちゃけ彫られる人側の問題やと思うんよね。
やけん、価格はプライスレスって感じじゃないすか?
自分が払った金額分の価値が自分のTattooに付くって俺は思ってるね。
やけん俺のTattooの料金を高いって思う人もおれば、安いって思う人もいるやろうね。
Q:海外 / 県外でのTattooworkについて
A:県外も海外も色々行ったね~。
初めて海外にTattoo workしに行ったのはLos Angelesやね。26か27歳くらいやったと思う。
でも初めてLA行った時は「彫師になった事、結婚した事、子供がいる事、今までの全ての事を忘れたい」ってのが理由やったね。頭がパンクしてしまってさ、全てをリセットしに行きたかったんよ。
当時はね、嫁も子供もおるけど彫師としての仕事も毎月ぎりぎりクリアって状態で。
そしたらある日、帰宅中にガクーってなってさ、家に帰って嫁さん子供が寝とる姿見た瞬間ブワーって涙が出てきて、ガタガタ震えだして。。。「何の為に毎日こんなに気張って彫師やっとんやろか」って。
不安とか毎日のプレッシャーとか、抑えてた何かが一気にパンクした感じやったね。でも嫁さんは「考えても分からんのやったら寝たら?」みたいな(笑)
その時に「彫師辞めるなら、次何するか決めてから辞めて」って言われたんやけど、色んな仕事やった上で彫師にたどり着いとったわけで、これ以外何も出来んやんって気づかされたんよね。
でもリフレッシュはしたかったけんさ、県外にでも行こうかって考えたんやけど、結局またそこで出来る知り合いだったり色んな繋がりだったりってのが、面倒なしがらみになるんじゃねーかって思って、どーせなら誰も俺の事知らない海外にでも行こうと思ってLAを選んだね。
それで昔、ダグラス(※前回インタビュー)にストリートで紹介されてたK.Oっていうブラックがおって、そいつに連絡してみようと思って連絡したら「是非LA来てくれよ!」って言ってくれてさ。
2週間そいつのとこに世話になっとったね。Tattooの事を忘れる為の旅でもあったけん、ぎりぎりまでマシンを持ってくか迷ったんやけど、せめてK.Oとかその友達にお礼が出来たらって思って3人分くらいは持って行ったかな。
彫師やけんか何か知らんけど、向こうついてからはK.Oのファミリー達も受け入れてくれて、言葉も分からんし何て言いよーかも分からんけど色々遊び連れてってくれたり本当に良くしてもらったよ。
で、せっかくやけんってベニスビーチとかサンタモニカとかハリウッドとかの色んなTattoo スタジオとか見せてもらいよったんやけど、ある店に入って見学しよったら奥から白人のおっさんが出てきて、どーやら「He is Japanese Tattoo artist」って俺の事を話よったみたいなんよね。そしたら「Do you want start tattoo business here?? Call me later.」みたいなん言われて、、、
LAついて2日目にしてTattooの仕事ゲットみたいな(笑)。
K.O達も「すげーすげー!Kentaさん流石っす!」みたいに言ってくるんよね。だけん3日目から約1週間は、昼1時から夜11時までハリウッド往復してずっとTattoo workしよったね。
Tattooの事忘れる為に来とったはずなのに、、、気づいたらTattoo彫りよった(笑)。
ハリウッドのタトゥーショップのタトゥーアーティストに、ある日凄い事言われた事があったよ。
「カラーの仕事があるけどやるか?」って。でも俺は「Sorry , color is not my style」って断ったんよ。
そしたらね「俺はそれでもOKだけど、KEANTAが“no work , no work , no work”だったら店のボス的にはNGだと思う。それじゃKENTAがBad Tattoo Artistになってしまう。
けどもし“work , work , work”だったらNice , KENTA Good Tattoo artistってなると思う。しかも相手がKENTAのことを知ってる奴だったらそれで通用するかもしれないけど、ここハリウッドにKENTAの事知ってる奴なんて誰もいないよ。KENTAがブラック&グレーが得意だっていう事なんて、誰も知らないんだよ。ましてやKENTAの技術も知らないんだ。だったらまず技術がある事を証明しなきゃいけなんだ。ブラック&グレーが得意だってのも分かるんだけど、カラーも出来なきゃいけないんだ。それが次、また次って繋がってくんだ。それがまたKENTAのスタイルになってくんだよ。だからこの1st
timeは凄く重要で、KENTAに技術がある事を見せた方がいいと思うよ。」って言われて、間違いないなって思ったんよね。
彫る相手は80過ぎのおじいちゃんおばあちゃんやったんやけど、日本だったら絶対に使わないような細い針使ってカラーのTattooを彫ったね。それがめっちゃ喜ばれてさ、チップももらったし、ボスもNice workって褒めてくれたね。
まぁなんて言うんやろ。言葉は通じないけどTattooがあれば気持ちは通じるし「やっぱこれしかねーな」って気付かされたのが海外かな。
Q:TATTOOを彫る時に大切にしていることは?
A:初心を忘れるべからず、かな。それと毎回1針目というか何か最初は本気で集中するね。
「(俺がTattooを入れる事によって)良くなりますように」じゃないけど、プラスなエネルギーというかマインドというか、綺麗に入りますようにとか、カッコよくなりますようにとか思うのに近い感じかな。
右手の甲に彫っとる“打出の小槌”のTattooはそういうことかな。
ちなみに、このTattooは初めてアメリカ行った時にNew yorkの老舗Tattooスタジオでアメリカ人の彫師に入れてもらったんよ。XXX Tattooのマイクベラミーって奴に彫ってもらったね。
Q:彫師をやっていた良かったこと、辛かったことは?
A:良かった事はストリートで出会った人とかがどんどん繋がってく事かな。
そこから紹介もらったり、それから友達なったりとかね。
辛いこと、、、まあ別に辛くはないけど、その分悪い事できんなってとこかな。
悪い事というか、常にちゃんとしとかないかんなって、人として。常にリスペクトというか信頼というかしっかりしとかないかんと思ってね。
Q:これだけは曲げれないと思っている事は?
A:「無理はしない」というか、きつい事は全然いいんだけど「自分に嘘をついてまでやりたくない事はしない」って感じかなー。あとは「今日やれる事は今日やる」かな。
Q:Toprocdressについての印象
A:んー、あんま関係ないかもしれんっちゃけど。俺が海外行く時に持ってくTattooマシンセットを入れる箱があるんよね。Vansの箱なんやけどね(笑)
その時に誰連れてこっかなーって考えて、連れてたったのがコレ。
ヤバかろ?これにToprocdressからもらったステッカー貼って、ずっと持ち歩きよったけん。
これがToprocdressの印象っていうか、俺の気持ちかな。
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